半年に1度ほど、岩手県宮古市の祖父勝己さん(82)から小包が届く。ウニやワカメなど海産物に、子どもの頃によく食べていたチョコレートやヨーグルトも。
松田優奈さん(25)、凜奈さん(23)姉妹は「祖父の中で私たちは子どものままなんです」。同市で東日本大震災に遭った。低地にあった自宅が流され、高台の祖父宅に身を寄せた。
急勾配の斜面に住宅が密集し、幅の狭い石段しかない。避難所に支援物資を取りに行けない高齢者のため、祖父は「もっこ」と呼ばれる竹のかごを使って運び始めた。松田さん姉妹も、もっこで近所をまわった。
もっこに弁当、両手にはペットボトル。「でも不思議と重いとは感じなかった」と優奈さん。「いつもありがとう」。行く先々で感謝された。震災の1年前に相模原市から引っ越してきたばかりだったが、顔見知りが更に増えた。メディアで「もっこ姉妹」として報じられ、道徳の教材にも掲載され全国から励ましの声が届いた。
SNS上では何年経っても、姉妹を思い出す声がある。「当時は恥ずかしかったけど、今も覚えてくださる方がいてうれしい」
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル